・・・ 茅ヶ崎市の地域別災害「まるごと知るマップ」作成推進協議会 ・・・

「現情報である市のハザードマップ」+「茅ヶ崎市の過去の災害史」+「地域住民の過去情報・現危惧感を含めた」茅ヶ崎市内の地域別災害を丸ごと知ることができるマップを作成し未来の茅ヶ崎市民へ残してあげませんか・・・
・想定外で済まされてよいのでしょうか?
(ハザードマップは絶対ですか)
大災害が起こるたびに使われる言葉「想定外」、科学知つまり実例事象データだけから割り出したもののもろさです・・・想定外を生みだす原因は科学知だけに頼る事です。
・想定外を生まない為には?
(この言葉に、直感的に反応した女性達)
大昔から地域住民の体験や知恵が継承されている「そこに住み続けたからこそ伝えられる地域固有の知」ローカル・ノレッジが必要です。その地域住民の集合知(多くの人の体験や知恵を集める)と最新科学を一緒に考えたとき、始めて「災害の真の姿」が見えてくるとともに、これからの想定外を生まない防災科学に必要な道筋・考え方・手法を見いだすことになると考えています。(名古屋大学 田中隆文准教授)

・・・・ 災害情報の解説者は住民 ・・・・

現在私達「マザーアース茅ヶ崎」は、新しい切り口として、広域避難場所検証に女性目線を活かす事により見えて来るものをデータ化し、固有の「知」に変える事に取り組んでいます。
自然災害が益々荒ぶる今後を考えたとき、次世代へ「減災に役立つ集合知」を作成して贈る事が出来れば、これ程有意義なことはないという結論に至ったからです。
マップ作成の意味を各地域の「地域固有の集合知」を持つ住民の方々にご理解いただきご協力いただく最善の方法を見つけるべく各有識者にお声をかけさせていただきました。

・・・・ アンケート実施に伴い問題点が噴出 ・・・・

先ず、私達は茅ヶ崎のほとんどの地区を網羅している上にお年寄りはその地を良くご存じではないかというような思い込みで、茅ヶ崎老人クラブ連合会にご協力を願い4300名の方々に情報収集アンケートを配布させていただきました。
アンケート内容  頂きたい情報とは

  • 子どもの時、親御さん・ご近所さんから聞いた話(あそこは雨がなかなか引かないで沼地みたいになっていたとか・・・)
  • 実際に体験された話(大雨で裏山の崖が崩れたとか・・・)
  • あの川は大雨が降るとあふれ出して大変だったとか・・・
  • 今大きなマンションが建っているがあそこは以前田んぼだった(地面が緩くないかなとか・・・)
  • 住んでいてどうしても裏山の崖が気にかかるなどの危惧を感じる場所

どんな小さな話でも、それが「誰かの命を守るヒント」になるかも知れないのです。

・・・ 自発的参加を促す難しさ ・・・

住民に感心を持ってもらい自発的参加を促す難しさ、災害に対する事前対策や避難を促す様な流れにならず思うように進まない理由はなにか? 下記の問題点の中に市民・事業者・行政が絡む災害対策の弱点が隠されているのではないかと感じました。
茅ヶ崎老人クラブ連合会にご協力を願い4300名の方々に情報収集アンケートを配布
以下のようなご意見をいただきました・・・

  • 問題点-1 災害石碑という文言に住民の方々の拒否反応がある
  • 問題点-2 本当のことが解ると、土地の資産価値が下がる
  • 問題点-3 昔からの人は少なく、新しい人の方が多いので知らない
  • 問題点-4 これは市とかまちぢから協議会がやることではないか

・・・・ 今後のマップ作成に必要な指針は? ・・・・

茅ヶ崎が大好きで、この地に敬意を持ち、居を構えている各地域住民は「茅ヶ崎のゆたかな自然の恵み・自然の怖さの両方を知り、住み続ける覚悟」を持っている事を次世代へ伝えた上で、各土地を知る事の出来るマップを活用して次世代の人達が少しでも安全に茅ヶ崎生活が送れるような道を開いてあげる事に賛成だと考えます。
「想定外を生まない」・「地域住民の知の集合」を記載した、茅ヶ崎市の地域別災害「まるごと知るマップ」を贈る事は今後絶対に必要で有り、今を生きる私達の責務でもあると強く感じています。
茅ケ崎市の防災に多大なご協力を頂いている東京大学加藤孝明准教授からもマップ作成は、市民の防災意識喚起にもなるとご賛同いただきました。
「現情報であるハザードマップ」+「茅ヶ崎市の過去の災害史」+「地域住民の過去情報・現状の危惧感」を含めた、茅ヶ崎市の地域別災害「まるごと知るマップ」を作成する事は、作成参加する事で地域住民の心を一つにし、災害時の自助・共助につながると考えます。
海岸地区まちぢから協議会・茅ヶ崎老人クラブ連合会・マザーアース茅ケ崎のコラボチームにローカルのレッジの提唱者である田中隆文 名古屋大学准教授のアドバイスをいただき動き出せることを切望し、行政にもご協力のお願いをさせていただきたいと考えております。

マザーアース茅ヶ崎 発起人 山田秀砂 平成31年1月23日

茅ヶ崎市老人クラブ連合会アンケート結果

完全版茅老連アンケート表紙
アンケート結果報告
アンケート結果報告
アンケート結果報告
アンケート結果報告
アンケート結果報告

地域コミュニテイと防災・・・地域住民固有の知ローカル・ノレッジ

地域・地区における「土地感」の重要性

災害時に“よそ者”が短時間で人文社会的な情報や、感覚的なものを含めた広意味での“土地感”を習得したりマニュアル化する事は容易ではなく、平時から日常生活の一部として伝承されたものが土地感といえる。

「地域」という言葉には「一定の地理的な共通性を持つ空間の広がり」だけではなく「人・物・事象等の複雑な関係性が存在している空間」の意味があると考えられ、それは多義的であり、そして多層的な構造を持つのである。

行政においてマニュアル化が進み、自然と人間社会との接点の現場情報は規格化・専門化しデータベースによる数値化出来る情報のみが利用され、現場の特殊事情が留意され活かされるシステムにはなっていない。

多様な要因が関わるという自然現象の真の姿を直視する事が必要であり、その多様な災害情報の解説者がその地に住む住民なので有る。

専門知と「市民の知」(ローカルな知)

【 専門知】

科学者共同体の中で同意されたある理想的成立条件に「状況依存」するとされている。
「誰がやっても」「同じ測定方法あるいは同じ手続きで」「結果を再現し共有出来る」ために必要な手続きを明記する事で「標準化」し、特定の文脈を離れた、知識の応用が 可能で有ることに権威を持たせる。
ただし、標準化の際に、こぼれ落ちる情報や視点があることを忘れてはならない。

【 市民の知】

ローカルな知の特徴は、「人々が、それぞれの生活や仕事、その他の日常的実践や身の回りの環境について持っている知識、特定の知識や実践の現場の文脈に固有の物であり、①文脈を越えた一般性を持たず ②文脈を共有しない外部の者には通常知られていないという二重の意味で局在的(ローカル)な知識」を意味する。
専門知であろうと「市民の知」で有ろうと、現状に依存する点に変わりはない、何に依存するのかが違うのである。

荻原なつ子 「市民知」

「市民が、地域社会における身近な環境に関する意思決定を行うための判断基準、すなわち社会的な合意形成を図るための知識や能力」を「市民知」と呼んでいる。
その性質は「(官僚的)専門知」に対する批判生・対抗性を内包しながらも、有効な知見を利用して「生活知」(「一般市民が日常生活を送ってゆくためのいわば常識的知識」)とくみあわせて行くような総合的な物だという。

嘉田由紀子 4つの「生活知」の概念


1) 五感で調べ、必ずしも数値になるとは限らない
2) 住民、生活者がそれぞれの興味に応じ集める
3) 自然科学、社会科学といった専門領域で分ける必要がなく、成果の表現の自由度が高い
4) 評価軸は、「リアリテイがあるか」、「あるいは生活の中で納得がいくかどうか」。

「生活知」の考え方は、「市民の知」の「知識」が何に根拠づけられているのか(知識の準拠点)を示している。

市民の知の活かし方

1) 人が勉強をして専門化と同じ知識を身に付けるよりも、専門家の気がつかない視点を専門家に提起する事のほうが重要」
2) 市民といっても一枚岩ではなく、市民間にも複雑な利害関係があることには留意すべきである。

「市民の知」を創出するプロセスの中で生成された価値が、蓄積・開示されていく仕組みを作る事が第一歩となる。

「すべてを背負う知」から見えてきた災害の実態 第5章より

地方固有の「知」と地域防災の「技」では、「地籟や山籟」(ちらいやさんらい)という融雪に関わる言い伝え(ローカル・レッジ)が現代科学の雪面熱収支解析からもその根拠を裏付けられる事を示した。 このように地方固有の知に科学的な根拠を与える事は、単なる一地方の「知」の把握と理解のみにとどまらず、「知」をオリジナルとした巧みな「技」として発展させ、地域防災をより一層、強靭化する事が期待される。

大きく異なるボトムアップ

「公共受容モデル」
 住民が参加するという意味、専門家が一方通行的に”科学知”を提供する構図
「双方向モデル」
 住民から専門家へのローカル・レッジの提供がされ、受け取ったローカル・ノレッジを手がかりに科学知の問題点を認識し対応しなければならない

このように地域住民固有の知(ローカル・ノレッジ)を活かし、将来の茅ヶ崎市民に伝承可能な形で災害情報を残せればと考えております。
難しいことではなく、市民の皆様には「昔誰かが言っていた」とか「そういえば昔ここは田んぼだった」などの生活の中からの情報さえ戴だく事が出来れば形にさせていただきます。
                                             

想定外を生まない防災科学 名古屋大学 田中隆文 より抜粋 2018/10/20  山田秀砂