みんなで残そう湘南遺産 災害と事前復興計画

2022年6月5日 湘南遺産2022報告会にて、プレゼンした内容をご紹介します。

プレゼン資料は、下記PDFをご覧ください。

shonan_heritageplan_presentation2022

プレゼン資料は、こちらからダウンロードもできます。

Youtubeは下記よりご覧ください。


提案-1 湘南遺産と災害がどう結びつくのか

必ず起こる災害からの復興のよりどころとなる、地域住民が愛し・誇りにおもう場所「プライドオブ・プレース」とは・・・
その地で生きる事を選択した住民が、多様な災害を受け入れ育んだ「地域固有の知(ローカルナレッジ)」により選択された場所ではないかという事でした。
私はこの6年間 防災を学び地域を知ることで、今後に活かしたいと考えています。
・特定非営利活動法人「日本危機管理士機構」の2級(自然災害)の危機管理士認定
・特定非営利活動法人 日本防災士機構の防災士  
・地区防災計画学会 正会員

ポイント<1 先人達が伝えたかった教え

地域住民の「知恵と行動」の代表のひとつが日本各地に有る「祭り」であり、湘南遺産プロジェクトにも多くの祭りが認定されています。
台風などの自然災害に見舞われなかった事を感謝し豊作を祝う秋祭り、夏祭りは台風被災や疫病など死者を供養し災を鎮める慰霊、鎮魂の意味合いが強いとされます。
その地に伝承されている祭りの起源となった災厄を知る事が、今後「来る災害の対応や被災後の復旧・復興に立ち向かう地域住民の心の準備を促し大きな力となると確信しています。
多くの遺産を災害というフィルターを通すことで、多様な災害経験の中で生まれた伝承文化つまり「先人達が伝えたかった教え」として広く周知して行く事が努めではないかと感じています。

ポイント<2 社会関係資本(ソーシャルキャピタル)の活性化

地域性や文化の意味を多くの人と共有する事で、共通の思いや認識を持つことが出来れば 社会的関係資本ソーシャルキャピタルの活性化が起こります。
「その地だからこそ生まれた南湖院や茅ヶ崎館」の存在は、その地の文化を知る手がかりとなりその地に対する愛着につながると考えます。
茅ヶ崎の気候地理的利点を活かし東洋一のサナトリウムとして南湖院を創ったことで、お見舞いに訪れる文化人に愛される茅ヶ崎館をうみだし、それにあこがれる人々が集まってくるという茅ヶ崎市の「別荘文化を発展」させた事は、まさに地域が栄えてゆく正道を行く理想的なまちづくりであったような気がします。

ポイント<3 災害と茅ヶ崎の今後

が、現状茅ヶ崎市は木造住宅密集市街地となり延焼火災の危険度は神奈川県でも1・2を争う市になってしまいました。
現状、旧南湖院・茅ヶ崎館も火災クラスター延焼地域に位置しています。
規制を欠くようなまちづくりを行っていなければ、他の地域より安全性の高い地域だったはずなのでとても残念です。
今後は、荒ぶる自然災害・人的災害など、すべての存在がゆらぎ不安定だからこそ、人と自然との共存や人としてのあり方(生きる質)を問われているような気がします。
一度災害が起きた時に出来る事は「地域住民の助け合い」です。
南湖院が地域住民を招いてクリスマス会を開催し、事あれば地域住民との連帯に努めたのは全てにおいて人との繋がりを重要とした広い視野をもつトップの存在にあったのではないでしょうか。

今、私達は「先人が伝えたかった教え」に目をむけ、現代にどう活かせるかを地域住民の固有の知ローカルナレッジを活かし考えて行く必要が有ると思います。
この提案には、茅ヶ崎市基本計画の柱でもあるSDGsの17項目を基に「No11住み続けられるまちづくり」として地域の伝承(先人が伝えたかった教え)に目を向ける事を切掛けに、地域住民が災害に対して共通認識を持ち「人々が繋がる」ことで、被災からのレジリエンス(復元力)を高め・被災後の持続可能性(サステイナビリティ)の意識を高める事が出来れば、地域住民共通の災害からの復旧・復興に重要な意味を持つ「真のよりどころとなる(場・文化)とは何か」を考えることになっていくと思います。

茅ヶ崎の文化を全国に知らしめた南湖院は、市にとっても市民に取っても重要であり、茅ヶ崎南側のアイデンティティのもとと考えられ、唯一残った「旧第一庁舎の利活用計画」が平成30年3月に発表されました。
財政逼迫とコロナ禍により現在は頓挫のような形になっているのは忸怩たる思いです。

提案-2 視点を変えると見えてくる未来への希望 (ではどうするのか?)

南湖院は茅ヶ崎市が別荘文化として発展する事に多大に貢献しており、昔の文献や写真から見えてくるものは「誇らしく素晴らしい志」を持って南湖院が創設運営されていたという事です。

その志を現代の多くの人達に広めるのが、私達の役目でもあるのではないでしょうか?
南湖院創設から始まり、時の文化人が好んだ茅ヶ崎館の文化がうまれた要因を現代の人達に知らせ「今に活かし継承するための方法」として「フェステイバル(祭)を提案」 いたします。
御神輿を担ぐお祭りではなくとも、湘南茅ヶ崎らしいフェスティバル的要素を持つ事で、洋と和が絶妙に融合した文化を持つ「旧南湖院と茅ヶ崎館」この2つの場所が茅ヶ崎文化の発祥地である事の意味と継承の必要性をアピールしてみては如何でしょうか? 

☝ ポイントです

南湖院は、地域住民を招いてのクリスマス会(医王祭)をすることで、地域の理解と協力を得て人々の繋がりを高めてきました、人々の繋がりが疎遠になり地域力が失われつつある今だからこそ、その精神を現代風のフェスで受け継ぎ、今後の荒ぶる災害対応の「地域防災力」をも高められる大きなチャンスです!

市の「旧南湖院第一病舎利活用基本方針」にもそった提案であり、市民と行政が一緒に、唯一残された旧南湖院の文化と形を守ろうという意識を共有し守っていきませんか?

どのようなフェスティバルが考えられますか?

「南湖院記念太陽の郷庭園」の一般公開もされており旧南湖院 の復旧事業が終了するまでは、庭園の広い敷地を活かした新鮮な空気と緑を楽しむ全世代が楽しめるイベントなどが考えられます。

また茅ヶ埼館は、南湖院全盛時の文化・芸術を彷彿させるインテリア・建物の佇まいを唯一残した内装を保持しており時代を巻き戻し「ノスタルジックな香り」に浸る事が出来る 茅ヶ崎唯一の場所として、お食事会やインテリア業界などのイベントフェスが考えられます。
「茅ヶ崎映画祭」が既に開催されているので、その後押しを強力にすることが出来ます。

☝ ポイントです

旧南湖院と茅ヶ崎館は茅ヶ崎南側の別荘文化発祥の地であり、そのからも後世に残すべき南側の「プライド・オブ・プレース」と云えます。
プライド・オブ・プレースこそが、被災後の人々の復興力のよりどころとなり 、 茅ヶ崎市民が語り継ぎ継承するべき場所と是非知っていただきたいと考えております。

山田秀砂

追記
「祭りの準備と組織構成」と「防災訓練の準備と組織構成」は非常に似ているのです。